2023.07.13タイの文化

タイの暦・誕生日・干支の豆知識

タイの暦(こよみ)

あなたは何年生まれですか?
年を表すとき、タイでは「仏暦」を使うのが一般的です。計算は簡単で、西暦に543を足すだけ。たとえば西暦2000年生まれの人は、仏暦では2543年になります。公文書をはじめ、会社の契約書やレターも通常は仏暦で表記されます。自分の生まれた年と、現在何年かくらいは覚えておくと便利ですね。
日本人も西暦と和暦を使い分けていますが、タイでも場合によって西暦も使います。西暦は、バンコクの人や若い人なら大概わかってくれるのですが、ちょっと田舎に行ったり、お年寄りと話したりすると全く通じないこともあります。
仏暦は、正式には「仏滅紀元」といいます。タイでは、お釈迦様が入滅(=亡くなること)したとされる年の翌年を元年としています。翌年、というところがちょっとややこしい。同じ仏教国でも国によって違い、隣のミャンマーでは、釈迦入滅のその年を元年として数えます。つまり、タイで2543年のとき、ミャンマーではもう2544年なのです。

タイの干支

お釈迦様というのはインドから伝わったものですが、タイは中国文化の影響もありますので、干支(えと)も使われています。十二支の動物は基本的には同じですが、タイでは8番目の未(ひつじ)が山羊、最後の亥(いのしし)が豚になります。干支は、本来は旧暦で数えなければならないのですが、今ではそんな正式にやる人はあまりいません。日本でも旧暦で干支を把握している人は稀でしょう。ですから、ねずみ年生まれの人は、タイでもねずみ年と言ってしまって問題ありません。が、占いに行ったり、中国式の寺院で厄除けをしたりするときだけ、急に干支が変わる人というのがいます。厄除けは正式にやらないと効果がないので、あわてて自分の正しい干支を調べるんです。もっとも、タイの出生証明書には旧暦に基づいた干支が書いてありまして、見ればすぐわかります。

曜日と色

誕生日について、もう一つ覚えておいた方がよいのが曜日です。お寺に行くと、仏像が横一列に8体並べられ、それぞれにお賽銭を入れる鉢が置かれていることがあります。これは、誕生曜日ごとの守護仏なのです。たとえば、日曜は両手をお腹の上で重ね合わせた立像、月曜は左手を垂直に降ろし、右手を胸の高さに掲げた立像。ぱっと見て違いがわかるのは寝釈迦像ですが、これは火曜日。ナーガ(蛇の神)の7つの頭が背後を守っているのは土曜日。ちなみに、なぜ8体かというと、水曜が昼と夜に分かれているからです。というわけで、寺詣りをする前には、自分の誕生曜日を調べておき、その仏像にお祈りしましょう。

曜日の色というのも決まっており、日曜は赤、月曜は黄色、火曜はピンク、水曜(昼)は緑、水曜(夜)は黒、木曜は橙、金曜は青(水色)、土曜は紫です。王様や王妃様の誕生日には駅やデパートに肖像画が飾られますが、旗や飾りは必ずお生まれになった曜日の色で統一されています。ラーマ10世王は黄色(月曜)で、王妃様は紫(土曜)。他にも、学校の先生などがその日の色に合わせたポロシャツを皆で着たりすることがあります。身の回りでも、たとえばピンクの服を着た同僚や友達に「あ、今日は火曜日ですね!」と声をかければ、タイの文化をよく知っているなあと喜んでもらえるでしょう。

月の呼び方

話が前後しますが、「月」は、1月、2月……のような数字ではなく、「マカラー・コム」「クンパー・パン」……とタイ語でいいます。というのは、タイの旧暦は数字で数えていたので、区別しやすいように、新暦はタイ語で月名が決められたのです。グレゴリオ暦(太陽暦)は日本では明治5年(西暦1872年)に導入されましたが、タイでは西暦1888年から使われています。文明開化、つまり西洋化が始まったのはタイもだいたい同時期なのです。なお、タイ語の月名は、星座にちなんで付けられました。たとえば「マカラー・コム(1月)」は「やぎ座の月」というような意味になります。星占いに使う星座と同じです。

12か月のタイ語を覚えるのはちょっと大変かもしれませんが、ちゃんと暗記しておくのがおすすめです。1月や2月くらいなら数字で言ってもわかってもらえますが、7月など真ん中あたりの月はピンと来ない人もいるようで、「マカラー(1月)、クンパー(2月)……」と指折り数えてからようやく「ああ、カラカダー・コム(7月)のことね」ということも。

暦の歴史や文化は、国によっていろいろあって面白いですね。年月日の基礎知識として、ひとまず頭に入れておきましょう。