インドの神様は大人気
タイのパワースポットの一つに「ピンクガネーシャ」があります。3倍のスピードで願いを叶えてくれるというこの神様はタイの人たちに大人気で、休みの日などは寺の入口付近に交通渋滞が発生するほど。
でも、よく考えてみると、不思議ですよね。というのも、ガネーシャはヒンドゥー教の神様だからです。タイって、大半の人が仏教徒なのではなかったっけ……? と、首をひねってしまいますが、仏教徒が拝んでも全然問題はありません。日本の人が元日には神社に行って、大晦日にはお寺の鐘をついてもいいように、タイの人もいろんな神様を拝んでいます。
タイで多く祀られているヒンドゥー教の神としては、他に、インドラ神があります。雷を操る神様で、茶褐色の皮膚に腕が4本、2本の槍を手にした姿で描かれます。タイでは「プラ・イン」と呼ぶのですが、別名「アマリン」ともいい、バンコクのアマリンプラザ横には緑色のインドラ神の像があります。インドラ神の乗り物はアイラーヴァタという白象で、タイ語では「エラワン(エーラーワン)」。サムットプラーカーン県のエラワン・ミュージアムは、博物館の屋根に巨大な象が乗っていて迫力満点です。エラワンの描かれ方はさまざまありますが、ここでは頭が3つある象となっています。現在はBTS(スカイトレイン)の路線が延び、チャーン・エラワン駅ができたのでアクセスも便利ですよ。
ブラフマー神もよく見かけます。バンコクの人に人気があるのは、グランドハイアット・エラワン・ホテル前の祠。場所は、BTSシーロムラインとスクムウィットラインが交差する辺りですが、電車やバスの中から拝んでいる人も見かけます。ブラフマー神は、4つの顔が四方を向いた姿をしています。この祠は「エラワン廟」とも呼ばれるのですが、白象のエラワンを祀ってあるわけではなく、ホテルの名前に由来しています。1956年のホテル建設時に事故が多発したため、ブラフマー神を祀ったのだそうです。
これらのヒンドゥー教の神々は、仏教に取り入れられ、インドラ神は「帝釈天」に、ブラフマー神は「梵天」になっています。京都の東寺に国宝の彫刻「梵天坐像・帝釈天半跏像」があり、この帝釈天がイケメンだといわれていますが、元はインドの神様だったのですね。
ピンクのガネーシャで有名なサマーンラッタナーラーム寺
エラワン廟
さて、ガネーシャですが、片方の牙が折れた象の頭に、太鼓腹の人間の体、腕が4本という姿をしています。ガネーシャにまつわる神話はいくつかのヴァージョンがあるのですが、シヴァとパールヴァーティーの間に生まれたという話が面白いです。それによると、シヴァの妻パールヴァーティーが夫の留守中、子供が欲しくなり、自分の垢をこねて作ったのが長男のガネーシャでした。シヴァは何も知らずに帰宅したのですが、家の見張りをしていたガネーシャの方でもシヴァが父親と知らなかったため、シヴァを追い出しました。シヴァは妻が不倫をしていると勘違いし、ガネーシャの首を刎ねてしまいました。その後、息子だったとわかり、後悔して「最初に通りがかったものの首をつけてやる」ことにしました(神様なので何でもできて便利です)。最初にやって来たのは、象でした。そんなわけでガネーシャは象の頭になったという話です。
こんな神様ですが、タイでは商売の神として大人気。お店のレジのところなどに小さなガネーシャ像を置いている人もよくいます。
パワースポットの「ピンクガネーシャ」は、東部チャチューンサオ県サマーンラッタナーラーム寺にあります。また、この寺院の界隈には、ピンクのガネーシャ坐像、黒のガネーシャ立像もあり、まるでガネーシャラッシュです。中部ナコーンナーヨック県にも巨大ピンクガネーシャ像のある寺があり、まだ他にもあると思いますが、とにかく皆さんガネーシャが大好きなよう。どのお寺のガネーシャが一番御利益があるのか、実際にお願いごとをしてみないとわからないですね。
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