タイの宝くじ事情
皆さん、運試しはお好きですか?
タイ人は大好きです。特に宝くじはタイ最大の娯楽の一つとして、老若男女を問わず幅広く楽しまれています。グーグル検索エンジンの統計がタイで初めて集計された2000年以降常に、「フアイ」という言葉が検索ワードの上位に位置しています。フアイとはタイ公営の宝くじ「Lottery(ロッタリー)」の意味です。
タイで宝くじが発売されたのは1832年。長く続く不景気で国民がお金を使いたがらないため、当時の国王ラマ3世が中国の宝くじ「フア・フイ(花會)」を取り入れたのが始まりといわれています。フア・フイのフイがなまってフアイとなり、現代まで宝くじの通称として使われ続けています。フア・フイはもともと、花の絵を当てる宝くじだったようです。ラマ3世の期待以上に人気を集め、宝くじビジネスは国家の財源を補うまで成長しました。花の絵から後に、中国人の名前、タイ文字、そして現在は数字と、くじの対象が変わっていきました。
宝くじ券は、町中を歩いて回ったり、道端に台を並べていたり、屋台のように小屋を設けていたりする売り子から、100〜120バーツで買い求めます。日本の昔の駅弁売りのように、首にかけた板に宝くじ券を並べ、道行く人に声をかけて回る売り子の姿が印象的だと思います。宝くじ券には6ケタの数字が印刷されていて、自由に選ぶことができます。
祝日などで変更はありますが、原則毎月1日と16日の抽選日に当選番号を確認します。6ケタの数字すべて当てると1等です。1等の賞金1枚につき600万バーツ。1等を当てる確率は600万分の1です。運良く当たる人もいますがあまりの低確率なので、ピンポイントで狙う人は少ないでしょう。多くの人が夢中になって狙うのは下2ケタです。1枚につき2,000バーツという末等です。最後の2ケタなら当てられそうな気がしますよね。
タイ人はあらゆる方法で、自分が買うべき2ケタを考え出します。その方法の一部を見ていきましょう。
定番は「夢」です。夢の中に出てきた「物」や「シチュエーション」を数字化するというものです。例えば「鳥=1」「トカゲ=7」「王様=9」。数字化の起源や法則は定かでありませんが、宝くじ好きが興味を持ちそうな夢占いの本が、タイではたくさん売られています。ネットが普及して後は、ウェブサイトでも占いができるようになりました。
続いて「年齢」「誕生日」「享年」「命日」です。自分はもちろん、尊敬する人、親戚、王室の方々、有名人などいろいろな人に関連する数字を選び出します。年齢や誕生日はともかく、享年や命日で宝くじを当てようなんて、日本人にとって不謹慎かも知れません。しかしタイ人は、死者がその家族や子孫に幸運をもたらすと信じています。人に関わる年月日や年齢には全て縁があるのです。
さらに、住所、部屋番号、車のナンバープレートなども数字選びの対象です。住む家や車にもそれぞれ土地神や精霊が宿ると信じられています。そんな神や霊が幸運をもたらしてくれるであろう数字を選ぶというものです。
フアイのガチ勢による数字の決め方には、本気度がより感じられます。ガチ勢の定番は「タキアンの木」です。タキアンはフタバガキ科ホペア属の高木で、日本語でも同名のようです。タイでは大樹や高木などに精霊または幽霊が憑くと信じられています。信仰の対象となる木には、カラフルな長い布が巻かれます。特にタキアンの木には「ナーン・タキアン」という女性の精霊が宿ります。タキアンを崇拝すると幸運がもたらされ、屈辱するとナーン・タキアンの怒りを買います。フアイのガチ勢はタキアンの木に祈りを捧げ、持参のベビーパウダーをタキアンの表面に擦りつけます。パウダーによって浮かび上がってくる数字らしき模様こそ、ナーン・タキアンが暗示する数字です。
最後は「ロウソク」と「聖水」です。タイ仏教にはナムモンと呼ばれる聖水があります。ナムモンはキリスト教の聖水同様、邪気を祓ったり穢れを清めたりする効果があります。タイ仏教で聖水を作るとき、水にロウソクのロウを垂らします。このとき、数字のような模様が浮かび上がることがあります。その数字で宝くじが当たるかも知れません。
今回はタイの宝くじの数字選びについて紹介しました。皆さんもこれを機に好きな数字を見つけ、宝くじを買ってみませんか。
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