2024.03.15タイの文化

本当に知ってる? タイの象のこと

 

タイといえば「象」ですね。

象はタイのナショナル・アニマルにも指定されています。昨今では「象さん柄パンツ」が一躍ブームにもなりました。かつては外国人バックパッカーくらいしか履かなかった薄手のコットンパンツのことですが、新型コロナウイルスの頃からタイ人のファッションとして脚光を浴びることに。象をモチーフにしたパターン柄のことが多いので「カーンケーン・チャーン(象パンツ)」と呼ばれ、ソフト・パワーの一つとしても注目されています。そんな大人気の象さんですが、タイにたくさん生息しているというだけではないんです。象はタイの象徴としても、また、生活の中でも大変重要な役割を果たしています。

 

瑞祥をあらわす「白象」

タイを含む東南アジアでは、象は瑞祥をあらわす動物として国王に献上されてきました。仏教説話の中で、摩耶夫人(まやぶにん)は六牙の白象が胎内に入る夢を見て釈迦を身籠ります。そんなわけで、普賢菩薩(ふげんぼさつ)の乗りものも六牙の白象です。現在、タイでは、法律で定められた複数箇所の体表色が白い象、または、皮膚の色素の薄い象が白象と認定されています。象法という法律も存在しており、象が重要視されていることがわかります。また、昔は国旗にも白象が描かれていました。今でも軍艦旗にその図柄が残されています。

 

国王の威厳をあらわす象

象は、タイの人たちにとって国王の威厳や独立を象徴する動物でもあります。ご存知の通り、かつて象は戦の場での乗りものでもありました。象の上での戦いといえば、アユタヤー王朝時代(1351〜1767)のナレースワン大王(1555〜1605)とビルマ王子の一騎討ちの場面が大変有名です。当時、アユタヤー王国はビルマの属国となっていましたが、1592年の戦いで勝利し、ナレースワン大王は独立を宣言します。大王の象が切り株に後ろ足を支え、踏ん張ったというエピソードは、タイ国民なら知らない人はいないでしょう。

 

ナレースワン大王の一騎打ちの場面は、壁画や銅像の他、映画や野外劇でも称えられています。アユタヤー遺跡のワット・ヤイチャイモンコンでは、ナレースワン大王の勝利を記念した仏塔を今も見ることができます。一騎打ちのシーンを描いた壁画もありますよ。また、アユタヤーでは年1回12月くらい(不定期)に世界遺産祭が開催されているのですが、歴史劇では一騎打ちの場面も演じられます。ライトアップされた遺跡を舞台に、本物の象が登場する戦シーンは一度は観ておきたいもの。地元の学生さんなども大勢エキストラ参加する賑やかで華やかな催しです。他、映画『キング・ナレースワン』(2007〜15年に公開)でも戦いの場面を観ることができます。こちらは全6部の大スペクタクル作品となっています。

 

労働力としての象

力の強い象が活躍したのは戦場だけではありません。人のいうことをよく聞き、山道も登れるため、昔、木材や物資の運搬には象の力が使われていました。第二次世界大戦中の日本軍による泰緬鉄道建設でも、国境の険しい山中での物資運搬に何百頭という象が使われたそうです。

 

タイの人々にとって、象はかけがえのない大切な動物です。そのため、タイ語には象にしか使わない特別な単語まであります。たとえば、一頭、二頭の「頭」は他の動物はトゥアといいますが、象だけは特別にチュアックと数えます。「鼻」という単語は普通はチャムークですが、象だけはグワンです。童謡『ゾウのうた』も子供たちに大人気ですね。「タイ象の日」というのも定められており、毎年3月13日なのだそうですよ。

 

 

 

 

 

 

 

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