2024.06.02タイの文化

6月第2木曜日は先生を敬う「ワーイクルー」

ワーイクルーという言葉を聞いたことはありますか?

ムエタイの好きな人だったら、きっと試合前のワーイクルーの儀式をご覧になったことがあるでしょう。ワーイとは合掌して感謝や御礼の気持ちを示すこと。クルーは「先生」のこと。つまり、尊敬する恩師に感謝を込めて捧げる儀式がワーイクルーなのです。

現在、ワーイクルーは、小学校から大学までの教育機関にも採り入れられています。この式典は、学校では毎年6月第2木曜日、または、任意の日に行います。この日は僧侶がパーリ語で「教師を尊敬する辞」を唱え、学生が花飾りを恩師に捧げます。どんな飾りかというと、パーンという高杯(たかつき)のような脚付きの台に、バナナの葉を折ったものを重ねて小さな塔を作り、色とりどりの花をあしらったもの。寺院で仏様に捧げる飾りにも似た、タイの伝統的な美しい装飾品です。これを先生に捧げ、学業の成功を祈ってもらいます。他にも、スピーチ、詩や作文、絵画など学校によってさまざまな活動があります。

恩師に何を捧げるのがいいの?

先生への捧げ物として、良いとされているのは、主に以下の4つです。
◆ ヤー・プレーク
イネ科の草で、和名をギョウギシバ(行儀芝)といいます。成長が早いことから学業で進歩するよう、また、悪環境や気候に強く、少々踏まれても持ち堪えることから、師の厳しい指導の下で忍耐強く学習するようにとの願いが込められています。
◆ ドーク・ケム(イクソラの花)
タイ名のケムは「針」の意味。針のように鋭敏な頭脳を持つようにと願いが込められます。
◆ 茄子の花
下向きに咲くことから、謙虚さを象徴。茄子の花のように礼儀正しく敬虔な気持ちで学べば学業が成ることを表しています。
◆ カーウトーク
ポップコーン状に弾けさせた米のこと。弱火で静かに米を炒るとポンと弾けることから、礼儀正しく規則に従う人は自然に突出し、秀でた人になれるという意味を表しています。

いつから学校でワーイクルーが行われるようになった?

ラーマ一世王(在位1782〜1809)の時代から行われていたといわれています。1932年の立憲革命後に制度化され、全国の学校で式典を行うようになりました。当時は、新学年が始まる5月に行っていました。その後、大学の始業時期が変わったため、1962年以降は6月に定められています。

なぜ木曜日なの?

タイ語のパルハットサボーディー(木曜)という言葉はインドのサンスクリット由来なのですが、パルハットサボーディーは神々の「師」にあたる神の名前でもあるので、木曜日が拝師の日(ワン・ワーイクルー)と定められました。

6月のワーイクルーの日の他、タイでは毎年1月16日も「先生の日」に制定されており、知識を与えてくれる先生がとても大切にされていることがわかります。常々、タイの子供たちの礼儀正しさには感心してしまうこともありますが、ワーイクルーの儀式など日頃から先生や目上の人を敬う文化があるおかげかもしれないですね。ワーイクルーもまた、見習いたいタイの文化のひとつです。

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