2024.07.07タイの文化

タイの仏教行事 カウ・パンサーとは?

雨季の重要な仏教行事は、カウ・パンサー(เข้าพรรษา)です(カオパンサーなどとも表記)。今回は、カウ・パンサーの由来や意味、タイでの風習を詳しく見ていきましょう。

カウ・パンサーとは

日本語では「安居入り(あんごいり)」「入安居(いりあんご)」などといいます。タイ語のカウは「入る」、パンサーは「安居」の意味です。パンサーの語源はサンスクリット(梵語)のヴァルシャまたはヴァーシカで、もともと「雨」「雨季」の意味でした。雨季には草木が繁り、虫や小動物が活発になるため、僧侶は無用な殺生をしないよう一定の場所に籠って修行します。この修行期間をパンサー(安居)といいます。お釈迦様の在世中より始まったとされます。

カウ・パンサーっていつ?

タイの旧暦8月下弦1日です。現在の太陽暦では7月頃にあたります。タイも昔は太陰暦で日付を数えていましたが、下弦1日とは十五夜の次の日のこと。日本の旧暦と同様、閏月がある年もあり、その場合は8月が2回になるので、カウ・パンサーは後の8月(閏8月)となります。カウ・パンサーの前日は、アーサーンハブーチャー(三宝節)という仏教上の祝日です。安居の期間は3か月続きます。

カウ・パンサーは短期出家の期間

タイには、男子が短期出家する習慣がありますね。かつては、20歳に達した男子は安居の3か月間に出家をするものでした。短期出家をして父母にブン(徳)を積んでから結婚するのがよいとされていたのです。現在は、3か月も出家するのは大変ですし、忙しくて時間の融通もなかなかききませんので、安居にかかわらず都合のよい時に、できる期間だけ出家する人が多いようです。

安居の終わりはオーク・パンサー

安居の3か月が終わるのがオーク・パンサー(安居明け、出安居)の日です。これはタイの旧暦11月上弦15日(満月の日)、太陽暦では10月頃。オーク・パンサーの翌日は、寺院で僧衣贈呈式(トートカティン)が行われ、在家の信者たちが参詣します。また、短期の出家僧が還俗します。

ろうそく祭り

カウ・パンサーの日にはお寺でタムブン(徳を積むこと)をしたり、托鉢僧に食物を捧げたりする他、お寺で使うろうそくを寄贈する習慣もあります。そのため、「ろうそく祭り」というイベントも生まれました。カウ・パンサーのろうそく祭りで有名なのは、東北部のウボンラーチャターニー県。蜜蝋で美しい彫刻を作り、山車に飾ってパレードをするんです。100年以上続く伝統行事で、神話の神々などをかたどった巨大な彫刻が街をゆく様子は圧巻です。

▲ウボンラーチャターニー県のろうそく祭り

禁酒日

カウ・パンサーの日は、一般のタイ人も五戒を守って過ごせるよう、2008年より国家の「禁酒日」と定められました。この日はアルコール飲料の販売が終日禁止。現在、他の仏教上の祝日も含め、年に何度か「禁酒日」があります

日本にもあるの?

日本の仏教にも伝わっています。日本では夏にあたるので、「安居」は夏の季語として歳時記にも掲載されています。

 

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