2024.08.02タイの文化

タイ伝統コーヒー:舌触りのザラザラ感と焦げ臭さがデフォルト

タイ国内のコーヒー店は、正確な店舗数がなかなか見つかりませんが、複数の情報を整理して割り出して見る限り、現在9千店を超えているようです。これはもちろん、コーヒー店として登記された店舗を数えたもので、市場や路上の屋台は含まれないでしょう。

タイでは国内外の有名チェーン店がネットワークを広げ、本格的コーヒー専門店も増えてきました。こだわりの店で提供されるコーヒーは、風味、コク、香りの評価がいずれも高く、コーヒー文化がますます発展していることを感じます。
一方で、街なかの食堂、市場や路上の屋台では、タイの昔ながらのコーヒーが主流です。日本語で一般的に「タイ伝統コーヒー」と訳される「カーフェー・ボーラーン」です。特徴は何といっても、舌触りのザラザラ感と焦げ臭さにあります。

ターキッシュコーヒー(トルココーヒー)の粉っぽさが世界的に人気であるように、ザラザラ感や焦げ臭さという表現は決して否定的なそれではありません。先日タイを訪れた日本の知人は、「フードカーを秋葉原辺りに停めて、タイのコーヒーを売ってみたらどうか」と真剣に考えていました。小売店で売られているネスカフェの(赤いパッケージの)インスタントコーヒーは、タイ伝統コーヒーに近い味です。日本に土産として持ってかえると、評価が二分されます。

舌触りのザラザラ感というのはどうも、コーヒー豆の乾燥方法にあるようです。タイでは日照乾燥がほとんどで、炎天下にコーヒー豆を長くさらすと表面がザラザラになり、それが舌触りに結びついてきます。そして焦げ臭さは長めの焙煎によるといいます。
味に関しては、タイで栽培されるコーヒー前の多くがロブスター種で、ブレンドせずに一種類で飲用することが多く、アラビカ種の特徴とされるフルーティーさや酸味さを感じにくい理由にもなっているようです。ともあれ、タイでは砂糖、牛乳、コンデンスミルクをふんだんに入れて飲むことが多いので、コーヒー自体の風味は優先順位が高くないのかも知れません。

「オーリアン(オーリヤン)」という、タイの人たちに馴染み深いコーヒーがあります。砂糖入りアイスコーヒーで、食堂や屋台で売られています。タイ語のインターネットでは、中国の潮州人がタイにもたらしたものでオーリアンは潮州語で「黒くて冷たい」を意味する、と紹介されています。
オーリアンはもちろんコーヒー豆を使っていますが、原価を抑えるためにタマリンドの種を混ぜることがあるようです。そのようなオーリアンを作っている本人は、「フルーティーさを出すため」で経費削減ではないと主張することもあるようですが、確かにフルーティーさが増すような気がします。

個人的には、長時間の車の運転で眠くなったときにタイ伝統コーヒーをストレートで飲むと、(カフェインの効果ではなく)その味の強さで一気に目が覚めると感じています。また、ストレートに砂糖ではなくハチミツをたっぷり入れると、ザラザラ感と焦げ臭さが中和され、日本人がイメージするハニーコーヒーよりコクのあるそれが味わえます。

ガソリンスタンドに併設されている有名チェーン店で注文するエスプレッソも、タイ伝統コーヒーのストレートの味に似ています。ちなみにエスプレッソではなくアメリカンを注文してしまうと、エスプレッソをお湯で薄めただけの、日本のホットコーヒーとは異なる味で出てきてしまうので、注意が必要です。

デフォルトともいえるタイ伝統コーヒーの味を知れば、専門店やこだわりの店の努力がより感じられ、それぞれの風味をより楽しめることができるでしょう。

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