今年は大丈夫?周期的に訪れるタイの記録的洪水
タイの天気は例年、4月のソンクラーン(タイ正月、水かけ祭り)が過ぎた辺りから雨日が気になり始め、6月には明らかに雨が多くなり、9月下旬から10月中旬まで台風並みの豪雨に見舞われ、11月には雨も止んで気温も下がって翌年のンクラーンまでだいたい好天に恵まれる、というパターンを繰り返します。1月や2月に雨が降るとすぐに「今年は天候がおかしい」と言われますが、降水量が同時期に多少増えるのも毎年のことです。
土砂降りの雨が続く時期になると、地方では田畑が水浸しになり、バンコクでは道路の水はけが悪くなるなど、毎年のように洪水が発生します。たいていは9月に入ってから洪水のニュースが目立つようになりますが、今年は5、6月ぐらいからタイ各地の洪水被害が盛んに報じられています。時期外れの洪水は下水道の掃除の怠りが理由も多いようですが。
「大洪水は周期で訪れる」とタイではよく言われます。だいたい12~15年です。前回の大洪水は2011年、その前は1995年でした。2011年の大洪水は記憶に新しく、多くの在タイ日本人が同年3月に発生した東日本大震災のショックを引きずったまま、タイでも被災したり不便を強いられたりしました。
2011年の大洪水は、同年9月ごろからの連日の大雨で、北部ターク県のプミポンダムが9年振りに満水、10月に放水されたことによって発生しました。同ダムの貯水量は135億トンです。日本では岐阜県の徳山ダムが最大級で、貯水量は6億6,000万トン。タイのダムは規模が全く異なります。
当時日本から支援で駆けつけたJICA(国際協力機構)の専門家さんに尋ねたところ、タイ北部・中部を襲った洪水の水量は160億トンで、琵琶湖の3分の2~満水に相当するとのことでした。
今年(2024年)は洪水の発生が例年より多いのは確かのようです。2011年の再来も心配されています。バンコク都庁はすでに、チャオプラヤー川沿いに150万個の土のうを積むといった対策に乗り出しています。というものの、チャオプラヤー川に架かる各地ダムは貯水余力がまだまだあり、前回の大洪水とは状況が異なるとしています。今後9月から10月にかけて降水量が急増しなければ、2011年のような大洪水は発生しないと見て良いと思います。
雨が降るとすぐに水が出る、タイの洪水対策は遅々として進んでいない、と思われがちですが、10年前20年前を思い起こすと、洪水被害は確実に減少しています。日本人にとって、最近は日本の台風被害がより気になるところかも知れません。
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