2024.11.14タイの文化

タイにもあるお歳暮の習慣、年末年始に贈る「新年のかご」

常夏のタイでも「ときおりおりの季節」を感じることができます。好天が続く乾期や雨が続く雨期といった天気もそうですし、4月のソンクラーン(水かけ祭り、タイ正月)や11月のローイクラトン(灯籠流し)といった祭事もそうですし、もちろん年末年始のタイらしい忙しなさからも、季節を感じます。その年末年始に、タイならではのお歳暮を贈り合う、興味深い風習があります。タイ語で「グラチャオ・ピーマイ」、直訳すれば「新年のかご」です。時期がくれば、タイの人には「グラチャオ」だけで通じます。

名称のとおり、入れものはかごです。日本のような雰囲気の良い包装紙で贈答品を包むといった高級感はありません。たいていは竹で編んだかごに幾種類もの商品を入れて、透明なラップをかぶせるだけです。「ふたを開けるまで中身が楽しみ」といった焦らしはありません。贈り先に到着する道中でも、周囲の人に中身を見せつけます。

12月に入ればスーパーやデパートで、あらかじめセットになったグラチャオを買うことができます。値段も数百バーツから数千バーツまでピンキリ。安いセットにはかっぱえびせんのパクリ菓子やビスケット程度しか入っていなかったり、高いセットには本格的ウイスキーが鎮座していたり、という感じです。もちろん、かごも中身も別々に買って自分たちで詰めることも多く、むしろその作業は楽しくもあります。

グラチャオで高級さを感じるとすれば、チキンエッセンス(チキンエキスドリンク)の存在でしょうか。おいしいと言って飲む人は少ないと思いますが、なぜかグラチャオといえば「チキンエッセンスが入っているかも」と期待するところがあります。

グラチャオは12月半ばになれば、国中どこでも見かけるようになります。年が明けても贈ることができます。「年末のあいさつができなかったから、年始のあいさつで」といった贈り方が可能です。

在タイ日本人ですと、グラチャオは仕事の取引先に贈るもの、というイメージを持ちやすいです。どこの会社でも事務所の片隅に、その年のグラチャオがずらっと並ぶからです。しかし、地元タイの人たちにとっては、歳上の人に贈っても良し、親戚同士でも良し、近所付き合いでも良しと、公私にかかわらずグラチャオを贈り合います。最近の傾向として残念なのは、コンプライアンスを理由に遠慮する日系企業が増えてきた、という点でしょうか。
贈る側もかごに入れる商品を選ぶのが楽しく、もらう側も好きな商品を見つけるのが楽しいのがグラチャオ・ピーマイです。

 

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