従業員の参加意識を高めるテクニック ~ “You”→“We”がもたらす効果
皆さん、英語は得意ですか? 私は、英語を避け続けた結果、アジアの非英語ネイティブ圏を漂流することになって現在に至り、いまだに英語といえば苦手と思ってしまいます。とはいえ、タイに来てからは、タイ語で不自由なく意思疎通ができるわけではない分、英語のお世話になっています。そして、下手でも使っていると、その語彙や表現に込められた考え方・コミュニケーション術など、学びや気づきもありました。
その中で、今年私が特に意識したことは、主語や主体の範囲です。以前、ビジネス英会話で、例えばコピー機の使い方のような案内をするときにも“You”ではなく“We”を使った方がいいと教わったことがありました。確かに、その方が優しい印象だとは思ったのですが、今年、私が“We”と言われる側に立ち、そのありがたさを強く感じたのです。私が独立して業務委託するようになった会計事務所の先生に、役所関連の対応で “Do I have to……?” と質問して“You……”ではなく “We……” と返されたのが、とても嬉しく、心強く感じました。私の会社のことで、その処理者は私なので、責任も当然私だけが負うものと無意識のうちに考えていたのですが、そんな私に “We” を使ってくれたことで、私は孤独ではなくその先生がしっかり寄り添ってくれている、という気がして感激しました。
そこから、これまで見てきた職場やクライアントでも、“We”という姿勢を持つリーダーやスタッフがいることの強み、逆に常に“I”と“You”の構図でしか考えないことの弊害等が色々思い出されました。私の母校では、スポーツの試合前等に “Who are we? La, la, la〇〇〇, 1,2,3!”と声を掛け合うのですが、従業員のワークモティベーションを調査しても、士気高く雰囲気も良い組織は、これを言えるということが見て取れます。“We”という仲間意識や連帯感に加えて誇りも持っているのです。その組織の知名度が高いか低いかは関係ありません。世間一般では名前が知られていない会社でも、社内で従業員向けに自分たちの強みや使命・目標、他社との差別化等についての情報共有が適宜なされ、個々の従業員の仕事がいかに会社にとって大事で役立っているか、ということが繰り返し丁寧に伝えられている場合は、〇〇〇という自分の組織について胸を張って語ることができます。
そして、そこでの自分の将来にも夢を描けるので勤続意欲も自ずと高くなり、平素から高みを目指し、組織の危機には何とかしようと頑張れるのです。一方、逆のパターンでは、どんなに有名な企業でも、従業員が自社の長所を認識せず、自分のパフォーマンスの善し悪しが会社に影響しているという意識もないということがあります。それでも、待遇が良いうちはそこそこの士気を保ちえますが、それは現金なもので、一旦不満を持ち始めると頑張れず、危機には自分だけ脱出思考に。
本社と現法、上司と部下、日本人とタイ人、どこであっても挟まれると色々と大変でついつい「俺」「お前」等と言いたい気分になることもあるかと思いますが、そこは直訳で“I” “You”とせずに、是非“We”と巻き込んで、共に歩む/寄り添う主語と思考でコミュニケーションをとることを意識してみてくださいね。
<本記事は「パノーラ」タイ版 2024年11月号 コラム『南洋茶話』(7)を許可を得て引用・転載しております。>
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