2025.01.31タイ生活

日本では「地震・雷・火事・おやじ」タイで恐れられる4つの教えとは?

能登半島地震で幕を開けた2024年は、関東では例年以上に落雷も多く、また、輪島朝市や田中角栄邸全焼等の火事も衝撃的で、日本で恐れられるものとして「地震・雷・火事・おやじ」という表現があったのを思い出しました。
これに相当するタイの表現があるのをご存じですか?200年近く前の詩から慣用句となった 「大きな象・唸り声をあげる蛇(=コブラ)・古参の召使・愛する妻」です。

確かに、タイでは時々、象が民家の壁を突き破って侵入したとか、コブラがトイレに現れ危機一髪、といったことが報じられるので、自然災害と動物という違いはあっても、その遭遇率と危険性は日本の地震・雷に匹敵するのかもしれません。
しかし、この句が指す真の怖いものは物理的被害よりも「裏切り」のようです。実は、「大きな象」には権力者「コブラ」には裏切り者、という意味もあり、残る2つも人、それも身近な人間にまつわるものであるという点に、人をよく見るタイの文化が色濃く出ているような気がします。
「古参の召使」は、「古くから/前々からいるスタッフ」と言い換えてもいいかもしれません。事情に精通し経験豊かな者が側にいてくれればとても心強いものですが、もし離れて行ったり、感情のもつれが生じたりするようであれば不安要因にもなりますね。内部をよく知っている者が競合他社に移ること、また問題社員解雇で報復が危惧されたり、お手伝いさんやドライバーといった身近な存在による犯罪が話題に上ったりするのもタイあるある。

しかし、タイで働く日本人目線で、より気をつけるべきは次のようなケースかもしれません。拡大解釈にはなりますが、勤続年数の長いローカルスタッフから「どうせいても2~3年」と見積もられ、その期間さえやり過ごせば、と表面上は良好に付き合えているようでも働きかけがなかなか響かなかったり、そのリーダー的存在と折り合いが悪ければスタッフを引き連れて辞められたりする等。限られた任期で目の前のタスクに焦ってとにかく計画の実行や案件の処理にと気がはやるかもしれませんが、タイでの仕事では、日本以上に人間関係の重要性が増すだけに、そういったスタッフを敵に回さない目配り気配り心配りは、急がば回れ的に注力すべきこととも言えましょう。

そして最後に、「愛する妻」。タイでは婿入り婚の歴史や、現代的には女性も自身の仕事を通じて経済力を持っているカップルが多いといった背景があるにせよ、タイの男性が女性によく気を遣っているのが目につきます。海外生活では孤独を感じやすく、それにより上手くいけば絆を深められることもある半面、下手をすると禍根を残すことにもなりかねないだけに、タイ人の奥様を持つ方に限らず、パートナーの大事さやその心が離れた場合の負の衝撃に思いを巡らせ、自らの考えや言動に改めるべき点がないか、振り返ってみませんか?

ところで、年越しや遊ぶ金欲しさに犯罪も増える年末。裏切りも怖いですが、犯罪に巻き込まれるのも恐ろしい。5年前にエカマイで邦人男性が帰宅途中に強盗に切り付けられたのも年末でした。どうぞ夜道は特にお気をつけください。皆さんが、自然災害や動物による害にも遭わずに、周囲の方たちと健やかによき新年を迎えられますように。

 

<本記事は「パノーラ」タイ版 2024年12月号 コラム『南洋茶話』(8)を許可を得て引用・転載しております。>

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