【タイ進出企業向け】タイの福利厚生
タイにおける福利厚生は、医療保険や補助金、退職金積み立て基金であるプロビデントファンド、通勤手当などが重要です。
労働法によって定められた社会保険(SSO)、産休手当、有給休暇、病気休暇も重要な要素です。さらに、従業員が企業を選ぶ際に特に注目する項目についても解説します。
■医療・健康
医療保険/補助
企業は従業員に対して社会保険の加入義務がありますが、社会保険でサポートされる内容が十分ではないため、別途医療保険や、医療費の補助を出している企業が多いです。
医療費の補助は、タイ人求職者・日本人求職者ともに重要視しているポイントです。
医療保険であれば、通院補助で1回あたり1,000THBから2,500THBまで補助がでるもの、医療費の補助であれば、従業員からの病院の領収書と診断書を提出してもらい、年間5,000から10,000THBほどを上限として実費で支給するケースが多いです。
年次健康診断
タイでは日本とは違い、企業が社員に健康診断を受けさせる義務は法律で定められていません。あくまで福利厚生の一環として、タイでも日本と同じような項目(胸部X線、血液検査、尿検査や医師の問診など)を提供しています。
私立病院にてパッケージプランを法人向けに用意しているため、それを利用している企業が多いです。
■プロビデントファンド(退職金積み立て基金)
プロビデントファンドは、企業と従業員の間で任意加入希望者向けに設定されたファンドであり、従業員の離職、退職、病気、死亡などの際の資金源として活用されます。この制度は、日本の確定拠出年金(401k)に類似しています。
タイに進出したばかりの企業では、まだ導入している企業は少ないですが、プロビデントファンドを重視するタイ人求職者が増えています。したがって、ビジネスが安定してくると、導入を検討することをお勧めします。
以下の記事で詳細をご紹介しております。
→タイのプロビデンドファンドとは?リンク
■通勤・住宅・その他諸手当
通勤手当
タイの求職者にとって通勤手当は重要な要素です。製造業では、通勤手当の代わりに、工場周辺エリアを回る送迎バスを提供する企業があります。未経験者や若手従業員は、交通手段が提供されていることを重視しています。送迎バスが提供されない場合は、月額500〜1,000THBほどが一般的です。非製造業の場合は、オフィスがバンコク市内にある場合、1,000〜2,000THBが支給されることもあります。
住宅手当
製造業や建設業でよく見られる手当です。工業地帯周辺では、500〜1,000THBが支給されるか、会社の寮が提供されることがあります。
語学手当
日本語や英語、タイ語の能力に応じて支給される手当で、主に言語能力試験の取得者に支給されます。
日本語:日本語学習のためのインセンティブとしての役割もありますが、主には日本語ができるタイ人の採用の際に、他の日本語ができない社員との差別化を基本給でつけず、手当として差をつけるために導入している場合が多いです。主に日本語能力試験のN3、N2、N1の資格を取得している場合に支給します。
英語:英語力の向上を促進するため、または他の社員との給与の差別化を図るために、多くの企業がこの手当を設定しています。主にTOEICの700、800、900点以上を目安にして支給されます。
タイ語:日本人向けに、タイ語の学習を奨励するために、多くの企業がこの手当を設定しています。一般的には、タイ語検定の取得を条件としています。
皆勤手当
製造業でよくみられる手当で、遅刻や欠勤、病気休暇の取得がない月に500〜1,000THBほど支給されることが一般的です。連続して遅刻や欠勤、病気休暇を取らない月が続くと、支給額が増額されるケースもあります。
携帯電話/通信費の支給
主に営業社員向けの手当で、SIMカードの支給や、携帯電話とSIMカードの提供、または自身の携帯電話を利用して月に800〜1,000THBの補助金が支給されることがあります。
社員旅行
社員の慰労や親睦を深めるために、中小企業で実施されることがあります。行き先は主にタイ国内です。
営業インセンティブ
営業成績に応じて支給される手当で、企業によって割合が異なります。
基本給与を低く設定し、インセンティブの割合を高くする企業も見受けられますが、候補者によっては、基本給を重視する方も多いため、採用の際は、具体的に説明し、インセンティブがどの程度になり、どのような目標設定になっているのかを理解してもらう注意が必要です。
ガソリン・メンテナンス代
自家用車を使用する社員向けの手当で、走行距離に応じて5〜7THB/kmほどが支給されます。
■<労働法で定められている福利厚生について>
以下の福利厚生は労働法で定められています。
社会保険(SSO)
社会保険は、月給の5%(上限750THB)を従業員と企業がそれぞれ負担します。この制度には健康保険、失業保険、年金が含まれています。健康保険は、指定された病院での受診で費用がカバーされますが、外国人向けの私立病院は含まれず、医療レベルが高くないこともあります。
産休手当
産休手当は、社会保険から支給されます。産前・産後の最大98日が産休として認められ、そのうち45日間は有給扱いとなります。残りの期間は、社会保険による産前の平均給与(上限15,000THB)の50%が補償されます。
有給休暇
1年以上勤務した従業員には、6日以上の有給休暇が付与されます。日系企業では、7日〜10日ほどの割合で付与されることが一般的です。また、試用期間終了後から入社時期で按分された日数を有給として利用することを許可している企業もあります。
病気休暇(Sick Leave)
タイでは、体調不良の場合に有給休暇として30日間の病気休暇が認められています。この病気休暇は試用期間中から利用可能であり、通常の有給休暇とは別枠で扱われます。病気休暇を3日以上連続で利用する場合には、医師の診断書の提出が求められることが一般的です。
まとめ
以上が福利厚生に関する説明でした。毎年、パーソネルコンサルタントではタイの日系企業向けにアンケート調査を実施し、「在タイ日系企業 給与・福利厚生統計データ」を作成しています。
それぞれの福利厚生について、製造業・非製造業別の導入の割合など、より詳細な情報をご覧いただけます。
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