タイへの進出を検討している企業の方の中には、BOIという特殊な制度を使わない場合に必要な「労働許可証の取得に必要な4人の採用」をどのように行うべきか、悩まれているかもしれません。今回は、この必ず雇用が必要な4人をどうやって決めるのか、お話していきたいと思います。
この労働許可証には社会保険に4人の名前がないと発行されないため、現在は社会保険支払いの実績が必要となっています。
※本記事はYouTubeチャンネル【知って繋がるバンコクのビジネスチャンネル〈タイ前線〉】の投稿を基にしております。
4人の構成
まず始めに4人の構成は、通常であれば管理系2人、非管理系2人となります。
管理系
日本本社と連絡する際にやり取りをスムーズに行うために、管理系は総務・経理系の日本語のできるマネージャーを1人採用する方が多いです。総務・経理のマネージャーは右腕の人材になってくるのでとても重要となってきます。
そして、自らの業務に専念するためにも管理系のマネージャーはとても大事になってきます。
そのマネージャーの下に部下として会計学を学んだ20代前半の女性を採用する方が多いです。BOIではなく、通常タイの法人格の場合ですが、経理の仕事をやるというよりも庶務、総務、雑務など全般の仕事を行ないます。事務を想像していただけたらと思います。
-経理-
必要となるのは経理です。経理以外の仕事は学んでなくても経験できたりその場で尋ねて解決できることがありますが、経理は会計学を学ばないと分かりません。タイの場合は毎月決算があるため、経理は必ず必要になります。
経理に関しては、日本人がいる会計事務所に依頼している会社が多いです。全ての業務を日本人がタイ系事務所に依頼すると費用が高くなってしまうので記帳・領収書・請求書の発行など自分達でできるところは、社内でまかなうことをお勧めします。日系会計事務所に記帳から支払い代行などを依頼すると、費用が10万バーツ以上かかるところもあるそうです。
記帳などを自社でまかなえば、日系では約1、2万バーツ、ローカルならそれ以下の費用から始められることが多いです。
日系の会計事務所数はとても多いので、進出企業の99%が最初は経理のマネージャーを雇わずに、日系会計事務所を使っています。
理由は3つあります。
①経理の方が辞めた時に代わりの方を採用することが困難。毎月締めがあるので、すぐに代わりを採用する必要がある。
②経理の方が休んだ時に、支払いなど、経理の人しか分からない業務があるので仕事が止まってしまう。
③間違いのダブルチェックができない。
以上の理由から、ほとんどの会社が最初立ち上げの際には会計事務所利用に加えて自社の経理スタッフの組み合わせで運用しています。
更に、日本本社の経理への報告などの際に、日系の会計事務所を通じて日本語でコミュニケーションをとることができるというメリットもあります。
最初は、日系の会計事務所を利用し、お金の流れがしっかりしてから経理マネージャーを雇うことをおすすめします。
-非管理体制-
非管理系とは、販売会社であれば営業社員、商社系であれば輸出入などを担当する社員、製造であれば生産エンジニアをさします。
非管理体制は2パターンあります。
①2人上下のポジションで雇う
②マネージャーを置かず並列でスタッフを2人を雇う
立ち上げからマネージャーを雇うことはお勧めしていません。
経験のある方は自分のやり方があるため、相性が合わない場合が多いからです。どちらかというと、マネージャーを置かず並列でスタッフを2人を雇うことをお勧めします。
今回ご紹介したものは、あくまでもオーソドックスなパターンなので、駐在に来られる方の特性であったり、企業の特性・業界の状況によって異なる場合があります。
Q.4人の構成について運転手やお手伝いさんを含めるのはどうか?
A.おすすめしてません。
企業で働く意識がまだ低い方や、遅刻や車内で起こる問題に絡む割合が高く、言葉が通じない場合や地図が読めない方が多いです。初めて日本からタイに駐在にきた方にとって運転手の管理はハードルが高いです。
運転手やお手伝いさんが必要な場合
4人以外になりますが、運転手派遣会社を利用することをおすすめします。数ヶ月関わってみて、良い関係性が築けそうだったら、派遣から紹介料を払って直接雇用に切り替えることがいいと思います。タイの交通事故件数は日本よりはるかに多く、試用期間のように数か月様子を見ることが自分の命の安全にもつながります。
給料のアドバイス
管理系のマネージャーが1番高い給料です。総合的には5万バーツぐらいとなっています。部下の経理は2万バーツ前後、新卒の方は2万バーツくらいとなっています。
非管理系のスタッフについても、マネージャーを雇うなら5万バーツ、スタッフは2万バーツぐらいが目安です。
並列でスタッフ2人雇うのであれば2万バーツ~3万バーツずつ、ということで合計すると12~14万バーツが給与総額です。これらの費用を、会社を立ち上げるとその労働許可書を取得するための最低限の条件としてかかる費用として見込んでおく必要があります。労働許可証の都合上、最初の1か月目から4人を準備する必要があるので、コストがかかる、人件費がかかるということを予算計上して、ビジネスプランを最初から作らなければなりません。
この記事がタイ拠点立ち上げにお役に立てたら幸いです。
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