はじめに
ビジネスの場において、日本でのコミュニケーションスタイルをそのままタイに持ち込もうとしてうまくいかないケースがよくあります。そんな時、タイ人と日本人の文化・国民性等の違いを踏まえて意識した方が良いポイントがいくつかあります。
今回は、「信頼関係の構築」「問題解決」二つの目的ごとに紹介したいと思います。
タイ人社員との信頼関係を構築するために意識した方がよいことはどんなことでしょうか?HRI (Thailand) Co., Ltd.代表の江草さんにお話を伺いました。
※本記事はYouTubeチャンネル【知って繋がるバンコクのビジネスチャンネル〈タイ前線〉】の投稿を基にしております。
仕事ができる上司、タイ人から見たら?
全てのタイ人がそうではないというのは前提としてですが、日本からの駐在員の方で信頼関係の構築に苦労しているとよく耳にするタイプは、「寡黙」「職人肌」の人たちです。
日本では、仕事ができるので周りから一目置かれており、黙っていても「あの人はすごい」と信頼を集めることができる一方で、タイでは仕事ができるだけで信頼を得ることは難しく、そもそも仕事の凄さ自体が理解されていないこともあります。
日本人的に仕事の凄さを背中で語っても通じません。そういった方法では、タイでは信頼関係を築くまでにはかなり時間がかかるのです。
タイの部下の方から見る日本人の上司は、「何を考えているのかわからない」「口数が少ない」「顔が怖い」「「ちゃんとやれ」と怒るけどどうすれば良いか丁寧に説明してくれない」といった声があります。
そのため、結果として、あの人ちょっと苦手だなとなってしまうケースがあります。信頼関係の構築に手応えが弱いと感じている人は、自分のやり方を客観的に見てみるのがいいと江草さんは考えます。
ココロを聴く
では、タイではどういう人が信頼を集めやすいのでしょうか?
それは…自分のことを気にかけてくれる人です。
タイ人はとにかく優しい上司が好きと言われます。
失敗した時にゴリゴリに怒らない人という意味合いもあると思うのですが、本質は自分のことを見てくれる、気にかけてくれる人が「優しい人」と思われているようです。
ここでキーワードとなるのが、「ココロを聴く」ことです。
ココロを聴くとは?
気にかける対象を「コト」と「ココロ」に分けて考えます。
「コト」とは、仕事上の成果のことを言い、例えば「凄い成果を上げたね」などの声かけが例にあります。
「ココロ」とは、その時の頑張った気持ちのことを言い、例えば「大変なのによく頑張ったね」などがあります。
どちらを褒められても嬉しいですが、タイ人は日本人よりも「ココロ」の比重が重いと江草さんは考えます。
家庭的な雰囲気を好むとか社員旅行が好きな事なども、タイ人の「ココロ」のつながりを重視している結果かもしれません。例えば、タイ人がよく「กินข้าวแล้วหรือยัง(ご飯食べた?)」とよく聞きますが、ご飯を食べたか否かを知りたいわけではなく、あなたの「ココロ」に関心を持っていますよという表現なのかもしれません。
ココロを聴くのはなぜか?
タイでは無理やりこじ開けるよりは、相手が話したくなるような空気を作るというような感覚がタイでは有効だと思います。
傾聴がタイでは信頼関係のベースになると思います。
ココロを聴くために具体的にすること3点
- 「挨拶+2」サワディークラッ(プ)/カー(こんにちは)+ 久しぶり・元気?
2語を付け加えることで会話が広がっていきます。それに笑顔が加わるとさらに良いです。
実際にこれを初めて試した時、「ワタシノコトキニシテクレテルノー、ヤサシイネー」と冗談まじりに言われたそうです。
- 「コトの中から、ココロを聴きとる」
例えば、部下の家族がコロナに感染したという場面において、
コトの場合
上司:「いつからだ?君は感染していないのか?会社には来れないだろうが、仕事は大丈夫か?」
ココロの場合
上司:「それは心配だよね。大丈夫?不安だよね?」
仕事上、コトの話が必要な場合でもココロ→コトの順番は意識することで、良いコミュニケーションが生まれます。
- 「ココロを聴く時間を意識してとる」
毎日仕事をしている中で、相手の「ココロ」に常に注意を払うのは現実的ではありません。
そんな時は時間を決めて、その間は相手の「ココロ」を聴くことに集中することがおすすめです。部下がいる方は1on1(社員と1対1)で面接することで、必然的にその時間を取ることができます。その時間は形式ばらず、話を聞くだけでも変わってきます。
まとめ
本日は、”日本人がタイでのビジネスコミュニケーションで意識したいポイント。相手のココロを聴く”ことがテーマでした。
皆さんもタイ人社員とコミュニケーションを取る際は、ぜひできることから、”相手のココロを聴く”ことを意識してみてくださいね。
タイでの採用についてお困りごとがございましたら、ぜひパーソネルコンサルタントにご相談ください。担当営業が丁寧にお悩みをお伺いいたします。