近年、経費削減や業務内容見直しで企業での年賀状やグリーティングカードも減少しているように感じていましたが、日本では今年10月1日の郵便料金改定でハガキが1枚63円から85円と一気に3割以上値上がりし、メディアでも「年賀状離れ」「年賀状じまい」等の文字が踊って、その傾向は一気に加速しそうです。
タイでもビジネス上12月になると関係先にグリーティングカードを送る習慣があるので、日系企業でも送られてきたものはオフィスのコミュニケーションボードや人目につくところに貼られている、というところも多いのではないでしょうか。それも、本社や周囲の様子を見ながら、積極的に送るのは取りやめ、というところが今後増えてくるのかもしれません。
それにかかる時間と手間が減る分、と言ってもいいかもしれませんし、あるいは、そういったカードをおくることが減っても、と言ってもいいと思うのですが、一年を振り返って新年に思いを馳せる時期にマネージメントの一環として是非書いてもらいたいカードがあります。それは、身内に向けた「サンクスカード」です。
欧米企業から始まり、その各国現地法人でも導入され、日本でも近年人事界隈では知られるようになってきたもので、効果としては、社内に賞賛文化を醸成したり、従業員のモティベーションやコミュニケーション能力を高めたりすること等が挙げられます。
企業によって独自の名前がついていることもあり、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドの「マジカルディズニーキャスト」(同僚間)・「スペシャルレコグニションカード」(上司から部下)や、リッツカールトンホテルの「ファーストクラスカード」と呼ばれるものもサンクスカードの類です。日本航空では、ストレートに「Thanks card」とし、「個を高め、組織の活性化を図りながら、褒める企業文化を浸透させる」一環と捉えていることが自社HPでも示されています。
このサンクスカードは、賞賛や感謝すべきことがあった時は、通年で随時出し合うとしている企業が多いようです。もちろん、そのように感じたときに伝えるということを個々人の身にも企業文化にも根付かせることができたら素晴らしいのですが、何事もそれまでしていなかったことを導入する際には、慣れるための時間や練習が必要です。それゆえ、これまでそんなものはうちの会社にはなかった、というところでは、グリーティングカードに代わる形からでも始めてみてはいかがでしょうか?
タイで日本人が集まると、現地従業員の「報連相」についてなかなか思うようにない、という意見がしばしば聞かれます。
しかし、タイ人従業員の間でも同様に、「日本人に報告してもフィードバックが乏しい」、「何を考えているか分からない」等といったことが聞かれます。お互いに異なった文化背景を持ち、常識や特定の場面で取るべきと考える行動が完全には一致していないこと、加えて言語バリアや互いにシャイな気質もあり、どうしてもコミュニケーションが円滑とは限らない分、多少の時間と労力を割いてでも、「あなたのこんな働きに感謝しています」「あのときの対応に感心しました/助けられました」「あなたのパーソナリティーがチームにとってこんな形で役に立っています」等と具体性を持たせた表現で「私はあなたを見ていますよ」と伝えることはとても大事です。
「言わなくても分かる」というのは残念ながら希望であり、言っても伝わらないことがある分、感謝や評価も「言わなければ分からない」というのが現実ではないでしょうか。マザー・テレサは「愛情の反対は憎しみではなく、無関心」と語ったとされますが、有難い存在で大事に思っている部下が、組織内で自分の存在価値を過小評価して社外に目が向くなんて残念なことが起きてしまわないようにするためにも、せめて一年に一度でも、感謝にのせて関心を積極的に伝えていきたいものです。
タイでの採用についてお困りごとがございましたら、ぜひパーソネルコンサルタントにご相談ください。担当営業が丁寧にお悩みをお伺いいたします。