日本語であれば、音や漢字で意味が分かったり、見慣れなくても検索すれば由来が分かったりしますが、タイの地名は基本的にタイ語で、よほどタイ語に習熟していなければ、殆どの場合、チンプンカンプンな表音に止まってしまうのではないでしょうか。ということで、今回は、皆さんのオフィスやお住まい、または馴染みのエリアの名前がどういう意味か、どういう由来でそう命名されたのか、BTSの駅名からご紹介したいと思います。
まずはスクンビット線を、サイアムから東に、オンヌットまでご乗車いただきます!
- 乗換駅:サイアム(Siam)
1964年にチュラロンコン大学の所有で開発されたショッピングエリア「サイアムスクエア」に由来しています。ここでは、日本語表記で一般的な「サイアム」としましたが、タイ語の発音からだと「サヤーム」がより近く、19世紀後半から1939年までのタイの旧国名から来ています(シャム猫の「シャム」=「サヤーム」)。
- E1:チットロム(Chit Lom)
1973年にセントラルグループが、セントラル・チットロムをそのデパート1号店としてオープンさせたことで、この一帯が広く「チットロム」と呼ばれ始め、当時のバンコクの富裕層が集まる場所になりました。「チット」が近い・隣接している、「ロム」が風という意味で、その名前からは、心地よさ、爽やかさ、空気の通りが良い場所がイメージされます。
- E2:プルンチット(Phloen Chit)
現在は直線となっているプルンチット通も、昔は草原や低木林で曲がりくねって通行が困難、それゆえ道を行く人が行方不明になって心配されるという意味で「ハイフアン」と呼ばれていたそうです。しかし、その後整備され、王族によって「プルン(愉快な)チット(心)」と新たに命名されました。
- E3:ナナ(Nana)
正確には「ナーナー」と長めの発音をしますが、この名前は、インド系タイ人の元政治家で不動産業者、レック・ナーナー氏の姓から来ています。彼はバンコクで多くの土地を所有し、「バンコクの土地王」と呼ばれていました。なお、「ナーナー」とは、色々・多様という意味です。
- E4:アソーク(Asok)
このエリアに大通りを造ったアソークモントリ卿の名前の一部を取って「憂いが無い」という意味の「ア・ソーク」と名付けられました。(しかし、その大通り名については、混雑・渋滞ぶりが嘆かれて「ソーク通(憂いの通り)」とも呼ばれることもあり、2004年に正式名が「アソークモントリ通」に改名された、という逸話付きです。)
- E5:プロンポン(Phrom Phong)
「プロン(プロム)」が、満ちている・準備ができている、「ポン」が家系という意味です。この地名は、スクンビット39に宮殿のあったプロームポン・アティラーチの名前から来ています。
- E6:トンロー(Thong Lo)
1932年の立憲革命を実行した軍人のトンロー・カムヒランの名前にちなんでつけられました。彼はスクンビット55の土地の所有者でもありました。なお、「トン」は金、「ロー」は鋳造する・形を作るという意味です。
- E7:エカマイ(Ekkamai)
確固たる由来が見つからなかったのでご存じの方はご一報いただけたら大変ありがたいのですが、タイ語の意味としては「一体感」「統一感」です。
- E8:プラカノン(Phra Khanong)
アユタヤ時代から運河沿いの集落として存在していたこの地は、運河が眉毛のように曲がりくねった形状が特徴で、クメール語で眉毛を意味する「カノン」という言葉を当てて呼ばれるようになりました。なお、「プラ」は尊敬される存在や宗教に関連する語の頭につけられる語です。
- E9:オンヌット(On Nut)
この名前は、同地区の土地所有者で、現在のオンヌット市場のオーナーであるオンヌット家から来ています。意味としては、「オン」が、柔らかい・優しい、「ヌット」が妹や年下の女性を指す言葉です。
続編コラム:<事務所選定やアテンドの参考に BTS主要駅名の意味・由来(2/2)~スクンビット(北)線・シーロム線編>